子どもの低身長が気になったら|「−2SD」だけでなく「成長速度」が大切です|もりもとベビー&キッズクリニック|京都市下京区の小児科

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子どもの低身長が気になったら|「−2SD」だけでなく「成長速度」が大切です

子どもの低身長が気になったら|「−2SD」だけでなく「成長速度」が大切です|もりもとベビー&キッズクリニック|京都市下京区の小児科

子どもの低身長が気になったら

― 身長だけでなく「伸び方」をみることが大切です

「うちの子、周りの子より小さい気がする」

「成長曲線を見ると、だんだん下の方になってきている」

「−2SDではないけれど、最近あまり身長が伸びていない」

このような心配から、低身長について相談に来られるお子さんは少なくありません。

低身長というと「身長が何cmあるか」「−2SDを下回っているか」に目が向きがちですが、実際の診療では、現在の身長だけでなく、これまでどのように伸びてきたか(成長速度)がとても重要です。


「低身長」とは?

一般的に、身長が−2SD以下の場合を「低身長」といいます。

−2SD以下というのは、同じ年齢・性別の子ども100人を身長の低い順に並べると、おおよそ前から2~3番目以内に入るくらいの身長です。

ただし、低身長を考えるうえで大切なのは、現在の身長だけではありません。

今は−2SDを下回っていなくても、これまで順調に伸びていたお子さんの成長速度が低下し、成長曲線をまたいで下がってきている場合には、何らかの原因が隠れていることがあります。

そのため、私たちは「今、何cmあるか」だけではなく、「これまでどのように伸びてきたか」を大切にしています。


成長曲線を見ることが大切です

低身長の診療では、これまでの身長・体重を成長曲線に記入します。

そして、

その子なりの成長曲線に沿って順調に伸びているのか

それとも、

以前と比べて伸びが悪くなり、成長曲線をまたいで下がってきているのか

を確認します。

例えば、身長が平均より少し低くても、一定の成長曲線に沿って伸びていれば、病的な低身長ではないことも多くあります。

一方、現在の身長が−2SDを下回っていなくても、成長速度が低下している場合には注意が必要です。

成長速度が低下する背景には、栄養状態の問題だけでなく、内分泌疾患や慢性疾患などが隠れている場合があります。


子どもの成長速度は年齢によって違います

子どもの成長の仕方を理解するうえで、ICPモデルという考え方があります。

Karlbergが提唱したICPモデルでは、子どもの成長を、

Infancy(乳幼児期)
Childhood(前思春期)
Puberty(思春期)

という3つの成長成分に分けて考えます。

乳幼児期には身長が非常に速く伸びますが、その成長速度は急速に低下していきます。その途中からChildhoodの成長が加わり、思春期前までは成長速度が緩やかに低下しながら身長が伸びていきます。

そして思春期になるとPubertyの成長が加わり、いわゆる「思春期の成長スパート」が起こります。その後は成長速度が低下し、やがて最終身長に達します。

この3つは完全に別々の時期に切り替わるのではありません。

Infancy・Childhood・Pubertyという3つの成長成分が一部重なり合い、その総和として実際の成長が形づくられます。

また、成長に影響する要因も時期によって異なります。乳幼児期には栄養の影響が大きく、前思春期には成長ホルモン(GH)が重要となり、思春期には性ホルモンとGHの作用によって成長が加速します。

そのため、身長を評価するときには、単に「今何cmあるか」だけでなく、その年齢に応じた成長速度で伸びているかを見ることが重要です。

 


低身長にはさまざまな原因があります

低身長のお子さんのすべてに病気があるわけではありません。

低身長のお子さんでは、ご両親の身長の影響を受ける家族性低身長や、成長や思春期の開始がゆっくりな体質性の成長遅延・思春期遅発などが多くみられます。

古典的な報告では、身長が−2SD未満のお子さんのうち、病的な原因による低身長は約20%で、残りの約80%は家族性低身長と体質性の成長遅延などに代表される、いわゆる正常変異の成長パターンとされてきました。

ただし、近年では、これまで「家族性低身長」と考えられてきたお子さんの中にも、遺伝的な原因が見つかる場合があることが分かってきています。

そのため、「両親も小さいから、この子も小さくて当然」と、それだけで判断することはできません。

一方、低身長や成長速度の低下の背景には、次のような原因が隠れていることがあります。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症

  • 甲状腺機能低下症

  • SGA性低身長症

  • Turner症候群

  • Noonan症候群

  • 軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)などの骨系統疾患

  • 慢性の消化器疾患、腎疾患、心疾患など

  • 栄養状態の問題

など、さまざまな原因が考えられます。

したがって、「小さいから病気」と考える必要はありませんが、反対に「両親も小さいから大丈夫」と決めつけることもできません。

その子なりの成長曲線に沿って伸びているか、成長速度が低下していないかを確認し、必要に応じて原因を調べることが大切です。


低身長外来ではどんなことをするの?

当院では、低身長が心配で受診されたからといって、最初から全員にたくさんの検査をするわけではありません。

まず詳しくお話を聞き、これまでの身長・体重から成長曲線を作成し、診察をします。

その結果、身長も成長速度も問題がないと判断できれば、そのことをご説明します。そのうえで、ご希望があれば今後も身長の伸びをフォローしていきます。

一方、低身長や成長速度の低下などが認められ、その原因を詳しく調べる必要がある場合には、血液検査などを行います。

また、必要に応じて、左手・手関節のレントゲン写真から「骨年齢」を評価します。

骨年齢とは、実際の年齢(暦年齢)とは別に、骨がどのくらい成熟しているかを表す年齢です。

骨の成熟具合をみることで、これからどのくらい成長する余地が残っているのかを考える大切な手がかりになります。

さらに、成長ホルモン分泌不全性低身長症が疑われる場合には、身長や成長速度、これまでの検査結果などを総合的に判断し、必要に応じて成長ホルモン分泌刺激試験を検討します。


成長ホルモン治療が必要になることもあります

低身長だからといって、すべてのお子さんに成長ホルモン治療を行うわけではありません。

成長ホルモン治療は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、Turner症候群、Noonan症候群、軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)など、それぞれの病気について定められた基準を満たした場合に検討します。

成長ホルモン分泌不全が疑われる場合には、必要に応じて成長ホルモン分泌刺激試験を行い、成長ホルモンの分泌が十分かどうかを調べます。

大切なのは、

「身長が低い=成長ホルモン治療」ではない

ということです。

まず、そのお子さんの身長や成長速度を評価し、低身長の原因を調べ、その結果に応じて治療が必要かどうかを判断します。

※SGA性低身長症については、出生時の身長・体重や乳幼児期のキャッチアップ成長、成長ホルモン治療を検討する時期など、重要なポイントが多いため、別の記事で詳しくご紹介します。


低身長は早めに相談した方がよいのでしょうか?

すべての低身長のお子さんに、急いで検査や治療が必要というわけではありません。

一方で、低身長の原因によっては、成長できる期間が十分に残っているうちに原因を見つけることが重要です。

子どもの身長はいつまでも伸び続けるわけではありません。

思春期になると一時的に成長速度が増加しますが、その後は骨の成熟が進み、身長が伸びる余地は次第に少なくなっていきます。

思春期がかなり進んでから受診された場合には、原因が分かっても、すでに骨の成熟が進み、身長を伸ばせる期間があまり残っていないことがあります。

そのため、

「まだ−2SDではないから大丈夫」

「もう少し様子をみて、ほとんど伸びなくなってから考えよう」

とするのではなく、成長曲線を確認し、以前より成長速度が落ちてきたと感じた段階で一度評価することが大切です。


受診の際にお持ちいただきたいもの

低身長の診療では、現在の身長だけではなく、これまでどのように成長してきたかが非常に重要です。

できるだけ過去の身長・体重が分かる資料をお持ちください。

乳幼児~小学校低学年のお子さん

母子健康手帳に加えて、保育園・幼稚園での身長・体重の記録や、学校健診の記録をお持ちください。

出生時の在胎週数、身長、体重なども低身長の原因を考えるうえで重要ですので、母子健康手帳はぜひお持ちください。

小学校高学年以上のお子さん

学校健診などの過去2年以上の身長・体重の記録があると、成長速度を評価しやすくなります。

母子健康手帳が残っている場合は、あわせてお持ちください。

記録が多いほど、成長曲線を正確に作成しやすくなります。


「小さいかどうか」だけでなく「きちんと伸びているか」を見ましょう

身長には大きな個人差があります。

平均より小さいからといって、必ず病気があるわけではありません。

反対に、現在の身長が−2SDを下回っていなくても、成長速度が低下して成長曲線をまたいで下がってきている場合には注意が必要です。

低身長の診療で大切なのは、

「今、何cmあるか」だけではなく、
「これまでどのように伸びてきたか」

を見ることです。

お子さんの身長が気になる場合には、まず母子健康手帳や園・学校での身長の記録を並べて、成長曲線を確認してみてください。

「身長は−2SDではないけれど、最近あまり伸びていない気がする」

「以前より成長曲線が下がってきている」

「周りの子との差が少しずつ広がってきた」

といった場合にも、一度ご相談ください。

お子さんが今どのくらいの身長なのかだけではなく、これまでの成長の経過を一緒に確認することから始めます。


参考文献

  1. Karlberg J. A biologically-oriented mathematical model (ICP) for human growth. Acta Paediatr Scand Suppl. 1989;350:70–94. doi:10.1111/j.1651-2227.1989.tb11199.x.

  2. 日本小児内分泌学会 下垂体・成長障害委員会.SGA性低身長症におけるGH治療の手引き.小児内分泌学会ガイドライン集.中山書店;2018.

  3. 日本成長学会・日本小児内分泌学会「骨年齢委員会」編.日本人小児TW2骨年齢―骨成熟評価マニュアルとアトラス―.メディカルレビュー社;2018.

  4. Diaz A, Ayala Castro L, Carrillo-Iregui A. Short Stature for the General Pediatrician. Pediatr Rev. 2025;46(6):304–316. doi:10.1542/pir.2024-006538.

  5. Grigoletto V, Occhipinti AA, Pellegrin MC, et al. Definition and prevalence of familial short stature. Ital J Pediatr. 2021;47:56. doi:10.1186/s13052-021-01018-3.

  6. Mahoney CP. Evaluating the child with short stature. Pediatr Clin North Am. 1987;34(4):825–849. doi:10.1016/S0031-3955(16)36289-7.

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